この建物は、先祖代々続いてきた農業を受け継いだ30代の若夫婦が、地域の農業の一役を担うため本家の隣に建設した農作業併用住宅です。
母屋の一階は収穫物の仕分けや梱包をする作業場、二階を住宅、平屋の下屋は農業用の倉庫とし、下屋の屋根を母屋に繋げ、ゲートの様なアプローチとしました。
平形壁用スレートは、経年変化やメンテナンスが少なく、存在感のある外観にしたいという要望から採用を決めました。
また、通りに面する壁が長いので、縦格子を設け建物の圧迫感の軽減をはかりました。
この建物を建てる際に解体した門構えのあった土蔵は、長年に渡りアイコンとしてこの通りに彩を与えてきたが、
東日本大震災で被災し、また使い勝手等今後の若夫婦の農業経営の展望を考慮した上で苦渋の思いで解体したこともあり、
記憶の継承も設計の目標に掲げ、自然な風合いのスレート外壁を採用し、和のしつらえとなるよう縦格子が通りに彩を添えています。
なお、井戸水を利用した地中熱ヒートポンプを採用し、冬場は二酸化炭素を排出しない床暖房で室内を暖めています。
敷地面積:301.77㎡(91.29坪)
延べ面積:275.33㎡(83.29坪) ・母屋1F(農作業場):125.87㎡(38.08坪)
・母屋2F(住 居):101.02㎡(30.56坪)
・下 屋(倉 庫): 48.44㎡(14.65坪)
竣 工:2024年3月